Rows upon rows of ivory products for sale lined up in boxes

日本が象牙取引について法改正か ― ついに、市場閉鎖の時来たり

東京の街で象牙製品を探してみよう。特にハンコなどは、それを売っている店にぶらりと入れば、何の困難もなしに合法的に買い求めることができる。近年、ほとんどの象牙の消費国は象牙の国内市場を閉鎖している。しかし、依然として堂々とビジネスを続けている孤立した存在がある。それが日本だ。

この数年、EIAとJTEFは、世界の象牙取引における日本の役割を注視してきた。日本市場が存続しているまさにそのことのために、象牙取引からゾウを守る国際的な努力が台無しにされている。

ゾウは、アフリカで依然として密猟され続けている。その事実は、象牙に対する需要が根強いことを示している。2024年4月、ベトナムでナイジェリアから密輸された象牙1.6トンが押収された。これは3月にドバイ(アラブ首長国連邦)経由でモザンビークから密輸された651点の象牙の押収に続く出来事だった。国際社会が足並みをそろえて象牙の商業取引を拒否するまで、ゾウはその牙のために密猟の犠牲となり続けるだろう。密猟を撲滅するため、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)は、1989年に象牙の国際商業取引を禁止した。さらに、この国際取引禁止の効果を強化するため、2016年に密猟または違法取引に寄与する国内象牙市場の閉鎖が勧告された。

日本は「日本国内では象牙・象牙製品の商業取引は原則禁止されており、限定的な条件の下でのみ商業取引することが可能となっています」と主張するが、現実にはこの「限定的な条件」が非常に広く、登録業者は、基本的にあらゆる象牙を誰にでも販売することができる。

しかし、日本は今、ほぼ10年ぶりとなる法規制の見直しを通じ、象牙への向き合い方を転換できる重要な局面にさしかかっている。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)は、1995年以来、象牙の国内取引を規制してきた。2017年に改正を受けたが、結果としてはほぼ上面を撫でるだけで 、従来の規制の根本的欠陥に対処するものではまったくなかった。日本政府は、現在2017年改正法の見直しを行っており、その作業は2026年まで続く予定である。その過程は複雑で、いくつかの段階を踏むことになっているが、最終的には環境省が種の保存法のどの部分を改正する必要があるかを決定し、国会審議に向けて法案を準備することになる。環境省の委員会は今年から来年にかけて、種の保存法のどの部分が、どのように改善されるべきかを提言し、環境省は2025年に改正法案の起草を開始する。この法案は2026年に国会で審議され、可決されれば翌2027年に施行される。

種の保存法見直しの第1段階として、環境省が設置した「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の施行状況評価会議」が、種の保存法の施行状況を評価、その結果を対策の中身を検討する別の委員会に報告する。評価会議の第1回会合は3月21日に開催されており、国内取引規制に関する限り、現在のところ会合があと2回予定されている。象牙に関する国際情勢、すなわち国際取引は禁止、国内市場はほとんど閉鎖されており、ゾウがその他の脅威とともに密猟にさらされ続けている状況を前提とすれば、市場閉鎖に向けて象牙取引規制を抜本的に改革するための改正が検討されるべきである。

4月10日、EIAとJTEFを含む計23の国際団体および日本の団体は、検討すべき情報および将来とられるべき行動を日本政府と共有すべく、要望書を伊藤信太郎環境大臣に提出した。この要望書は、浜口裕子 拓殖大学名誉教授と藤堂英子 認定NPO法人EDGE理事長のご紹介によりJTEF事務局長坂元雅行が環境大臣に面会した際、直接手渡されている。

この要望書に名を連ねた諸団体は、環境省に対して、まず象牙の国内取引規制の見直しに高い優先度を置くこと、象牙に広く認められている禁止の例外を撤廃すること、真に狭い例外を除く国内象牙市場閉鎖のための法改正を行うことを要望している。伊藤環境大臣は、この面談において、終始真摯に対応された。種の保存法の改善が検討される際、大臣が野生ゾウの保護における日本の役割について熟慮されることが望まれる。

Two men examine an array of documents on a table

日本の象牙取引規制についてJTEF事務局長と意見交換を行う伊藤環境大臣

気候変動その他の数多迫りくる脅威にさらされつつあるゾウにとって、象牙需要を満たすための密猟からの永遠の開放は、今まさに必要とされていることである。30以上のゾウ生息国から成る「アフリカゾウ連合」諸国は、日本に対して、市場閉鎖を実行するための措置をとるよう訴えてきた。2025年11月に開催される第20回ワシントン条約締約国会議(CoP20)では、日本が関係した象牙押収およびその開かれた国内市場の状況に関する公式の分析にもとづき、日本の市場のあり方が精査されることになる。このCoP20は、日本にとってその立場を転換し、後日の種の保存法改正によって象牙市場を閉鎖することを宣言するのに絶好の機会である。

日本は、活発な合法象牙市場を持ち、しかも将来的に象牙を国際的に買い取って象牙業界にもたらすことに関心を向けている、現在唯一の国である。もし、日本が市場閉鎖に向けた措置をとるならば、国際社会に対し、国際取引は永遠に終わるとの強いメッセージを送ることができるだろう。さもなければ、日本は野生ゾウの生存を犠牲にした象牙産業の守り手として記憶されることになるだろう。

日本政府は、効果的に象牙市場を閉鎖するために、意味のある種の保存法改正を行わなければならない。日本がゾウを守る世界の輪に加わるべき時は、今である。

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